ドライブスルーPCR検査が始まった!

先週は、日本でもやっとドライブスルー方式でのPCR検査が始まったと、喜んでいる人達を何人も見かけた。そう喜んでいる人達の多くは、これでPCR検査数が飛躍的に増えると考えている。しかし、それは余りにも短絡的で、事の本質を理解していない、全く以ておめでたい人達である。

PCR検査の律速段階は、検体と試薬の調整そして検査機器による測定に在って、検体採取が検査全体の律速を決定するものではない。つまり、ドライブスルー方式で幾ら素早く検体を採取したからと言って、PCR検査全体に掛かる時間は短くならないので、検査数が飛躍的に増える訳がない。即ち、PCR検査数を増やす為には、検査技師と測定機器を増やす以外に方法は無いのである。

では、現在の日本に於ける、ドライブスルー方式の本質的意義は何かである。その第一義的な目的は、指定病院での検体採取に伴う医療従事者への感染と院内感染のリスクを低減し、最悪の結果としての医療崩壊を回避させる事である。たとえば、駐車場などに設置した簡易施設で検体を採取する事によって、消毒作業の効率化と医療従事者への二次感染リスクを極力減らす事が可能となるのである。

現在の日本の状況では、PCR検査の機器や検査技師数が少ない為に、たとえドライブスルーPCR検査で検体採取量が増えても、最終的なPCR検査数の増加には直結しない事に納得する必要がる。

検査に関しての嬉しいニュースと言えば、日本でもまとまった症例数でのSARS-CoV-2の抗体検査が始まった事である。それは、日本赤十字社が献血を用いたSARS-CoV-2の抗体検査を、東京都内で500人、東北地方で500人を対象に実施して、5月1日にも結果が公表できるとの報道である。

アメリカでも経済活動の再開条件を模索し始めたので、日本でも集団に於ける抗体保有率の調査を全国に広げて実施することが急がれる。