令和元年の堺市長選挙と維新の会
平成最後の統一地方選挙で大阪維新の会は大躍進した。その興奮醒めやらぬ中、堺市では来週に市長選挙が行われる。
それは、竹山修身が出資法違反と言ってよい政治資金パーティー詐欺と巨額脱税を行った容疑で堺市長職を辞職した為である。恐らく集めた資金は、竹山修自身の政治活動には使われず、他政党とその政治家達に流れたものと言われている。何故なら、竹山修身にとっての政治活動と選挙活動とは、有権者に直接語りかけるものではなく、自民党と公明党の推薦を得る事が全てであった。維新と自公の戦いの主戦場が大阪市である事を利用して、無能な自分が堺市長であり続ける為の工作であったと思われる。政令指定都市と言えば聞こえはいいが、堺市では政治的無能の犯罪者が三期目の首長を勤めていたのである。
さて、これまでの維新の会と堺市を振り返って見る。そもそも大阪都構想の始まりでは、堺市も特別区に含まれていた。東京都に並ぶ強大な財政基盤を有する自治体を確立する為には、大阪市の周辺自治体を含めた広域の特別区を形成しなければならない。しかし、大阪維新の会が支援して擁立した竹山修身市長は、堺市が大阪都構想に含まれる事に反対して大阪維新の会と決別した。自民公明と竹山修身市長が棲む堺市に対しては、当時の維新の会も政治的戦力を割く余裕もなく、大阪都構想の最前線である大阪市に戦力を集中することになる。その後の大阪都構想は規模を縮小させて、まず大阪市の特別区化に限定した戦略に転じて現在に至っている。
まず、この大阪市の特別区化の戦略である。大阪市議会選挙は中選挙区制であるので、一つの会派が全議席数の過半数を取るのは困難である。そこで、大阪市を特別区にする為には、どうしても公明党の協力が必要となり、協定を結ぶ事になったのである。以来、その煽りを受けて堺市の国政選挙では、選挙区に維新の会の公認候補を立てる事を控えて、公明党との協定を優先してきた。大阪維新の会の支持者にとって、国政選挙の選挙区で自分たちの代議士候補が立てられない事の悔しさと焦りは、言葉では語り尽くせないものがある。
さて来週ついに、長らく停滞していた堺市政に終わりを告げるべく、堺市長選挙が行われる。維新の会は、前回の市長選挙でも公認候補とした永藤英機を再び立てた。今の勢いを持ってすれば、維新の会が公認した候補が市長になる可能性は非常に高い。もし永藤英機候補が新市長に選出されたならば、維新の会の支持者として願うことは唯一つ、全国的知名度の高い首長になって欲しい。テレビ出演の依頼が有れば、どんどん引き受ければ良い。大阪維新の会としての正しい理念を発するなら、少しくらい言葉使いが悪くてもよい。橋下徹程でなくも良い。臆することなく、東京を基盤とする政治家やコメンテーターと言い争って欲しい。大阪から全国に影響力を与える政治家に育ってほしい。
令和になっての最初の戦である。