ふるさと納税の返戻品は地場産品に限定
総務省は、昨年4月ふるさと納税の返戻品に関する通知を出した。返戻品の還元率は30%以下で、かつ地場産品に限るとの事。さらに、この通知に従わない自治体は、ふるさと納税の制度から閉め出すとの御触れであった。そして遂に、今年6月から泉佐野市など幾つかの自治体は、ふるさと納税の対象外にしたと通知するに至る。
普通に考えれば、一連の総務省の通知に於いて、高額な返戻品に規制を掛けるのは当然だと思う。しかし、見過ごせない矛盾もある。それは、総務省が言うところの地場産品とは何ぞやである。これが全く曖昧としていて、法律の様に厳格に練られた言葉ではないので、何ともいい加減な御触れになってしまっている。
例えば、他の自治体で製造販売している商品を買ってきて返戻品にするのは駄目だが、その自治体の行政が及ばない大海原に出かけて捕ってくる魚は地場産品とするのである。恐らく、最終的な組立工場、生産農地、あるいは荷揚げする港が、その自治体に登記されているならば、その商品は地場産品と判断しているようである。
しかし、ふるさと納税の制度を悪用しているのは、本当に泉佐野市のような地方自治体なのだろうか。未だに総務省が地場産品の解釈を曖昧にしている事で、もっと邪悪で大きな問題を孕んでしまった様に思える。返戻品が、公海上で獲った海産物ならまだ許せるが、多額の国税を支払って操業許可を得ている他国の排他的経済水域で獲った海産物が、地場産品だなんてチャンチャラおかしい。更に恐ろしい事に、地元漁師が獲ったものと他国の水産会社から輸入したものは、卸市場では区別されていても小売り販売店では、同じ生物種なら区別せずゴチャ混ぜにして返戻品として納品されるのである。全くもって阿呆な御触れである。これでは地方間格差を助長させて、地方自治体同士を反目させているだけである。
結局、今回の一連の通知で判った事は、返戻品の認証という総務省が持つ権力を見せつけた、ただそれだけである。そして今、総務省が問題の本質から目をそらしてきた結果、この制度は官民癒着による税金の不正支出の温床となってしまっている。