ローラとテイラー・スウィフトの政治的発言

昨今、芸能人によるSNSを介しての政治的発言が世間を騒がせている。その発言方法も、これまでの様にメディアによるインタービューから始まる情報発信ではなく、芸能人自身が直接インターネットを介して世界に発信していることが注目に値する。

例えば、お馬鹿タレントのローラが普天間基地の辺野古移設をアメリカ政府に直接反対する署名活動を応援している事が、テイラー・スウィフトが民主党の応援広告塔になっている事になぞらえて報道されているが、その本質的な違いを多くの日本の若者が理解出来ていない事は大問題である。

アメリカ芸能人の政治的発言は、あくまで世界一の覇権国家における支持政党の表明であり、ターゲットとするテーマは内政で、安全保障体制を変える選択ではない。共和党、民主党、いずれの政党が政権を取ったとしても、アメリカの世界覇権を揺るがすものではない。 一方で、日本の芸能人の発言は、自国だけでは確立できない日本の安全保障の問題に関する意見である。安全保障問題に関するミスリードは、日本の国体維持に直接影響を与える大問題であることを、日本の多くの若者は理解出来ていない。YouTube動画を観て騒ぐのと、同じ次元で考えてもらっては困る。

結果に対して、テイラーが私馬鹿ですからと言っても、「そだね」と言って受け流すことは出来るが、ローラの発言は日本の安全保障を現実に脅かしているので、無罪にする事は出来ない。

スマートフォンが普及する以前では、大手メディアが取材対象として選ぶという事により、発言の有用性に一定の保証が付いていた。しかし、インターネットとそれを利用したスマートフォンの発展と普及により、誰もが簡単にネット空間に自分の意見を上げる事出来る様になった今、何が起きているかと言うと、情報の注目度は発信者の素養とは無関係に、知名度が最重要ファクターとして働き、無制限にネット上を拡散していく。情報の質が、問われない事が恐ろしい。

ただ、今のところネット上の発言も、最終段階としてテレビ番組で取り上げられてこそ、強大な影響力を持つようになる事は、以前と変わりが無い。従ってテレビ局も、自身が最後の砦であることを自覚して、質の高い報道を維持して欲しい。