やらせ番組はイッテQではなくバイキング

今日のバイキングは酷かった。アメリカの中間選挙と八王子のいじめ自殺問題を取り上げての構成であった。番組前半はアメリカ中間選挙の結果を受けて、共和党トランプ大統領政権を確信犯的に内政干渉していた。しかし、驚いていたのも束の間、私を震え上がらせたのは後半での中学生いじめ自殺問題を討論する中で起きた放送事故である。

コメンテーターとして招かれていた内藤朝雄が、台本で結論していた展開と異なる発言をするやいなや、スタジオの芸人達が蜂の巣を突いたかのように騒ぎ始めたのである。操り人形である阿呆な司会者が大声を上げて、打ち合わせの展開と違うと、スタジオ中をのたうち回った挙げ句、内藤朝雄ゲストに暴言を浴びせ続ける映像を流し続けた事こそが、番組の「やらせ」を曝け出してしまっていた。トドメは番組の終わりで、安藤優子までもが正体を無くしたかのようにイッテQの悪口で締めくくったのである。

バイキングとイッテQの悪は、全く次元の違う悪意である。茶の間に笑いをもたらすバラエティ番組のイッテQが、祭りの実行委員会と交渉してお笑いネタを拡大実行運営した罪と比較して、ワイドショーの仮面を被りながら国内外の時事問題に対してスタッフ個人の主義主張を公共電波で喧伝している罪とでは、罪の大きさや罪状が全く違う。バイキングの放送姿勢こそがBPO(放送倫理・番組向上機構)で取り上げるべき事案である。

イッテQの誇大実行は、昔で言えば川口浩の探検番組の延長であり、現地の実行委員会や現地国がクレームを付けているなら謝るべきであるが、日本の視聴者や他局が文句を付ける程の事ではない。バラエティ番組は誇大誇張は織り込み済みで視聴者は楽しんでいる。祭りの実行主体がどう感じているかである。

一方、今回のバイキングが犯した放送事故は大罪である。結論が決まった「やらせ」台本通りに番組が進行しないと思うや、スタジオ全体が狂気に満ちてゲストである内藤朝雄を血祭りにする姿は、昔の学生運動家を思い出してゾッとした。取り上げるテーマを深く正しく考察する為に専門家を呼んで議論する番組であると思っていたが、実際は事前に結論を決めた「やらせ」番組で、一寸たりとも台本の結論を変えない事を是とするスタジオの姿に恐怖を覚えた。

更に、弁護契約がなされていないと言い訳するだろうが、清原博には誰を助けるべきかを瞬時に判断して行動する人徳が備わっていない事実を、私は深く脳裏に刻んだ。私には、間抜けな司会者や雛壇芸人はどうでも良いが、安藤優子を言論テロリストに仕立ててしまった番組の罪は極刑に値する。

The J. Geils Band の Centerfold を聞きながら、深まりゆく秋を感じよう。