原子力発電
原子力発電について語るには日本が置かれる現実について深く考える必要がある。地球の歴史・地理学・自然学・生物学の観点から、また人類の歴史・世界史から見た地政学的観点から、遠い未来の日本人の安寧を願う為に。
ABCD包囲網により石油の輸入を止められ、代替エネルギーの備えや開発計画も全く無い中で、連合国と戦争をして負けたのである。国益に適うかどうかの判断基準は、正義や情でなく、国体と文化の保持に資するかどうかである。この一点に於いて日本の指導者達は罪を犯したのである。今、歴史は再び日本に石油の代替エネルギー問題を突きつけた。原子爆弾を落とされ、原子力発電所事故に見舞われ、歴史は日本に繰り返し問い続けるのである。現時点で再生可能エネルギーは、日本が先進国で在り続ける為の十分なエネルギー源として確立していない。当面、化石燃料の代替は原子力である事は自明である。正義や情でなく、国益に適う判断を下さなくてはならない。二度と戦争をしない為に、原子力エネルギーの利用を承知するのである。
平成26年2月9日、東京都知事選の結果は、原子力技術を発展させる事が日本の国益である事を明確に宣言した。まさに、原子力事故への対応、核廃棄物の処理問題、原子力エネルギーの利用、を区別して論じる時期に入ったのである。核エネルギーに関しては、安全で高効率な技術の研究に努める事は自明であり、そのためにも若き研究者の育成は続けなければならない。エネルギー供給源の枠組みを考える時、その時の富裕層が口にする体裁など考慮する必要はなく、中間層以下の全ての国民がエネルギーに不自由しない条件から論じなければならない。