野村修也と泉房穂のコンプレックス:理と情

昨日1月16日放送のミヤネ屋で野村修也が突然大声で泉房穂を罵倒し始めたので、何が起きたかと注視した。
番組が進行する中、
野村修也は、両罰規定の無い政治資金規正法に於いては、政治家による共謀の立証要件は具体的証拠のみとすべきと主張。
泉房穂は、状況証拠を積み重ねることでも、政治家を共謀共同正犯として立件できる可能性があると主張。
ここから二人はヒートアップし、番組は荒れた。

二人は共に、悪しき政治家を成敗すべしと、心の中では共鳴し合う。
しかし野村は人生経験を積む中で或る時、保身と言う殻の中に逃げ込んでしまっていた。
野村は、法の中では生き易いが、人間に出ると孤独である。
今の野村は、長いものには巻かれろと罪刑法定主義で自身の弱さを弁護する。
一方の泉は、何度叩かれても懲りずに市民目線で社会規範を優先している。
どちらの立場が、政治資金規正法の改正を成就させるだろうか。どちらも無理なのか。

放映内容を振り返ると、今週までの報道を纏めるとやはり危惧していた通り、自民党派閥パーティー収入の政治資金収支報告書への不記載、多額の裏金作りを主導してきたとして、政治資金規正法違反容疑で告発された安倍派幹部7人を、東京地方検察庁特別捜査部は不起訴とする方針を固めたとされる。

いま国民が知りたい論点は三つある。
一、明らかに主犯である政治家を政治資金規正法違反で立件することを、なぜ早々と断念しようとしているのか。
二、主犯の政治家を政治資金規正法違反で立件する方策は本当に存在しないのか。
三、ざる法である政治資金規正法を、会計責任者のみならず政治家も連座制で裁くことが出来る法律に改正される日は来るのか。

野村修也は政治家による共謀の立件を断念することの妥当性の説明に終始し、
泉房穂は共謀の立件を諦めるのは早すぎると主張していた。
二人が熱く語る論点は異なるもので、全く噛み合わなかった。
そして今回は、大声で相手の話題を遮ったのが野村修也で、泉房穂は自分が話したい事を素直に取り下げて相手の話題に応じていたのが、とても奇妙に思われた。
国民としては、立件断念の解説よりも、立件の可能性の追求する議論をして欲しかったので、残念である。

共謀という法律用語に対する二人の思い入れには、大きな差がある様に思われた。
野村修也は、共謀共同正犯の立件には厳格で明確な成立要件が必要とする立場から、まずは政治資金規正法違反に於ける共謀とは何かを確定させる事から始めるべきと説く。更に強く、泉房穂は政治資金規正法違反に於ける共謀の立件要件を雑に扱っていると批判した。
これを受け、泉房穂は言い方を修正すると応じて、東京地方検察庁は捜査打ち切りではなく、状況証拠を超える証拠固めの捜査を続けるべきと意見した。

今日ばかりは宮根誠司も、二人のヒートアップをコントロールする事が出来ず、何度も泉房穂にアンガーマネジメントが効いて物分かりが良くなっていると、茶化して褒めるのが精いっぱいであった。

<共謀罪>
野村修也が拘っていた共謀罪について、ネットで調べてみた。
2003年に共謀罪法案が初めて国会に提出された時から、日弁連は共謀罪法の成立に反対している。実際に共謀罪法案は全て廃案となってきた中、やっと2017年に共謀罪と同じ内容の改正組織的犯罪処罰法が成立した。

<野村修也>
中央大学法学部卒業。
中央大学法学部教授となることで司法試験に合格することなく特例弁護士に登録されている。

大阪市に対する第三者調査チームを構成して、大阪市全職員に対する政治活動や労働組合活動についてのアンケートを実施した事が、基本的人権を侵害し、弁護士の品位を失うべき非行にあたるとして、弁護士業務停止1か月の懲戒処分を下された過去を持つ。

<泉房穂>
東京大学教育学科教育哲学・教育史コース卒業。
NHK、テレビ朝日での入退職の経歴を持ち、司法試験にも合格。
国政は、衆議院比例近畿ブロックを民主党で1回当選。
明石市長は、実質3期(4回当選)勤め市政改革を進めるも、自身の発言責任を取り任期満了で退任。