ディップ・メータ, Grid dip oscillator : Part 2

<< Introduction in Japanese >>

先般制作したディップ・メータ(平成28年9月11日の稿)の性能を向上する為に、周波数カウンタの入力部にプリスケーラ MB501(富士通)を組み込んで、測定表示できる共振周波数の上限を拡張した。また、プリスケーラ増設に伴い周波数カウンタの PIC プログラムも改修した。

近年、アマチュア工作で利用できる半導体の入手が困難になりつつある。初めはデプレッション型 MOS-FET の入手に手間取り、次は手頃なプリスケーラの確保に手間取った。自身が老いて工作出来なくなると言うより、部品の入手が出来なくなるのが本当の所ではないかと感じる。

dip-meter-part2

<< Prescaler and amplifier of Frequency counter >>

preamp-prescaler

プリスケーラは、64分周が可能な MB501(FUJITSU : The input frequency ranges from 10 MHz to 1.1GHz.)を用いた。PIC18F1320 が Timer 0 のプリスケーラを使用しない場合に測定可能な周波数の上限は 4.1 MHz なので、MB501 での分周処理を組み合わせた場合の測定可能な周波数の上限は 256 MHz までに拡張される。

プリスケーラ部の回路は、MB501 のデータ・シートに記載されているサンプル回路を用いた。だたし、寄生振動を抑制する為に入力 pin 1 を抵抗 10 kΩで GND 接地した。

更に、高周波増幅回路では、不適切は承知で buffer のバイアス回路を簡略化している。

<< Sample code of frequency counter for Part 2  >>

(A project of MPLAB X IDE containing HEX.file only)

Derived from the code in my page, “Frequency counter using 8-bit, 18-pin PIC on July 17, 2016”.

<< Result and Summary >>

FMラジオ放送の周波数帯でディップを確認する為に、発振部でシールドされていないコイルを用いた FM ワイヤレス・マイク(送信機)と同調させることで、ディップ・メータの動作確認を行った。実際に使ってみて、やはり 500μA ラジケータではディップが浅い。前稿でも述べたように小型化に固執しないなら、100μA 以下の電流計を試したい。

更に、VHF 帯以上の共振数波数では、具体的な対象回路を持たないので、動作確認は出来ない現状である。

一方、測定精度に於いて注意すべき点は、MB501 の入力周波数の範囲がデータ・シートでは、10 MHz から 1.1 GHz と記されており、10 MHz 未満での精度保証が無い事である。10 MHz 未満でのカウント・ロスは測定誤差として無視できないので、共振周波数が 4 MHz から 10 MHz では、PIC 内蔵のプリスケーラを使用して測定すべきではと考える。

稿を終えるにあたり一言述べる。電子技術の進歩に伴う電子部品の小型化と、日本の家電産業の苦境による半導体の製造中止と流通在庫の減少の為、アマチュア電気工作の世界にもパラダイム・シフトが起きている。何時までついて行けるか心配である。